2009年05月31日 01:21
iPS細胞は、神経や筋肉などいろいろな体の部分になることができる細胞で万能細胞とよばれているよ。
ヒトの皮膚細胞からつくったiPS細胞。かたまりの中にiPS細胞がふくまれている。
写真=京都大学教授 山中伸弥
たとえば、病気で内臓が悪い人がいたとすると、その人の皮ふから細胞を取り出して、iPS細胞にすれば、そのiPS
細胞を内臓の細胞に成長させることができるんだ。手術で、悪くなった内臓の細胞を、iPS細胞でつくった細胞と取りかえれば、病気をなおせるというわけ。今は、病気で内臓が悪い人は、ほかの健康な人の内臓をもらう手術をすることが多いけど、ほかの人の内臓はその人に合わないことがあるし、健康な内臓をわけてくれる人なんてそんなにいない。でも、iPS細胞だったら、もともと自分の細胞だから合わないことはないし、いつでもほしい体の部分の細胞を作り出すことができるんだ。
自分の皮ふの細胞から新しい内臓の細胞をつくれるよ
生き物は、最初、1つの細胞で、それがどんどん分かれていって、たくさんの細かい細胞が手や足、頭、内臓などになっていき、赤ちゃんになるよ。つまり、赤ちゃんになる前は、いろいろなものになる可能性をもった細胞のかたまりなんだ。そこで、皮ふの細胞を取り出して、その細胞がまだいろいろなものになる可能性があったときのような状態にもどすことのできる遺伝子(体をつくる情報が入っている設計図のようなもの)をさがしたんだよ。そして発見されたのがある4つの遺伝子。それらの遺伝子を皮ふの細胞に入れることで、神経や筋肉などいろいろな体の部分になることができるiPS細胞ができるんだ。
まず、マウスを使った実験は成功したよ。その実験は、マウスのしっぽの皮ふの細胞を、iPS細胞にして成長させた結果、いろいろなものになる可能性を持った細胞に変化したんだって。そして、その細胞をマウスの体に入れて成長させたら、神経や消化管組織、やわらかい骨が入りまじったかたまりに成長して、さらに、ピクピク動く心臓の筋肉や神経の細胞にも変化したそうだよ。そして、人間の皮ふからもマウスのものと同じようなiPS細胞をつくることにも成功した。
http://www.emura-excel.jp/index.html